カテゴリー「映画の感想(2005~2013)」の1000件の記事

映画の感想 2005年~2012年

2013年3月10日 (日)

[映] BIUTIFUL ビューティフル

 スペインを舞台に、余命宣告を受けた、裏社会で生きる男の生き様を描いた物語。タイトルとは裏腹に、とてもダークな世界が描かれている。

Biutiful
 スペイン、バルセロナ。麻薬の取引や、中国系移民の不法労働斡旋など、非合法の仕事をしながら二人の子供を育てる中年男ウスバル。ある日、体調不良から病院で検査をした結果、末期癌で余命2ヶ月とわかる。子供達のために働き続けるウスバルだったが…

 全編暗く、「ビューティフル」という言葉とは対称的に汚らしい映像が続くので、見ていると気持ちが滅入る。

 ウスバルの暮らしはまさにダーティ。仕事もダーティなら、暮らしもダーティだ。麻薬の取引をしている輩を、警察に摘発されないよう、汚職警官に賄賂を払っておく。中国系移民を、不法労働させている輩に仕事を斡旋する。そんな汚い仕事をしつつも、不法労働者たちに親身になるウスバルは、良き父でもある。暮らしぶりは最低レベルだし、病から来る不安で、時々子供達に当たり散らすこともあるが、彼らを心から愛し、彼らのことを一番に考えている。

 ジャンキーで子育てを放棄した妻マランブラとは別れたものの、子供達のために家庭を再生しようと努力もする。結局はうまく行かないのだが、最後まで、子供達のために、生きる。

 ウスバル役にハヴィエル・バルデム。別れた妻マランブラ役にマルセル・アルバレス。兄ティト役にエドゥアルド・フェルナンデス。アフリカ系移民イヘ役にディアリァトゥ・ダフ。中国系移民ハイ役にチェン・ツァイシェン。

 若くして亡くなった父の墓を売ると言うことで、中身を取り出し火葬するシーンがある。墓と言ってもカプセルホテルみたいなもので、それぞれに棺が収められており、その場所を売ると言うことなのだろう。防腐処置された遺体は40年以上経つにも関わらず、眠っているかのよう。いつの間にか、父よりも年を取ってしまったウスバルが、青年の姿の父を見て、何を思ったのか。

 2時間28分と長く、陰鬱な話ではあるが、生きる姿が強烈に描かれており、見応えがある。

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2013年3月 9日 (土)

[映] ブリキの太鼓 ディレクターズ・カット版

 かなり有名な作品だと思うが、実は初見。西ドイツ、フランス、ポーランド、ユーゴスラヴィア、1979年の作品。

Die_blechtrommel
 1899年ダンツィヒ。郊外カシュバイの荒野で芋を焼いていたアンナは、警察に追われて逃げてきた放火犯コリャイチェクをかくまう。それがきっかけで女の子アグネスを産む。
 1924年、成長したアグネスは、ドイツ人のマツェラートと結婚するが、従兄ヤンと愛し合い、息子オスカルを産む。3歳になったオスカルは、誕生日にブリキの太鼓をもらう。この日、大人になることを拒んだオスカルは、自ら成長を止めることを決意。そして、奇声を発することでガラスを割ると言う力を身につける。
 アグネスは、ヤンとの逢い引きを続け、妊娠。だが、精神を病んで自殺。母親代わりにやってきた少女マリアとベッドを共にするようになるオスカルだったが…

 ポスターの写真の少年を見て、「マルコム in the middle」のマルコムこと、フランキー・ミューニーズに似ているなぁとずっと思っていた。やっぱり似てるよね??
Malcolm_in_the_middle
 かなりショッキングな内容だ。3歳で自ら成長を止めてしまう子供ってどういうこと?? 産まれる前から自我があったようで、かなり不気味な少年である。彼が、幼くして大人の嫌な部分をたくさん見てしまい、大人になりたくないと思う気持ちはわからないでもない。

 だが、その一方で、否定していたハズの嫌な部分を、自らも望んで経験している。この辺りがよくわからない。成長したくない=いつまでもピュアな心でいたい、と言う意味ではないのだ。好き勝手やりたいけど責任はとりたくないから大人になりたくないってことか。

 オスカル役にダーフィト・ベンネント。産まれた直後の赤ちゃん役から、3歳の姿で20歳を過ぎた青年の役まで一人でこなす。撮影当時12歳前後だと思う。本当にすごい。マツェラート役にマリオ・アドルフ。アグネス役にアンゲラ・ヴィンクラー。マリア役にカタリーナ・タールバッハ。ヤン役にダニエル・オルブリフスキー。

 ストーリーの意味はよくわからないのだが、オスカルの目から見た「戦争」を描いた作品だと言うのはわかった。あちこちで理不尽なことが起こっているけれど、自分にはどうしようもないオスカル。子供でいることで、そういう面倒なことから逃げているようにも思える。

 当時としてはかなり過激と思える映像がたくさんあった。ディレクターズ・カット版だからなのか、元々のシーンなのかはわからない。2時間44分とかなり長かったが、全く先の読めない展開に目が離せなかった。

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2013年3月 8日 (金)

[映] 空飛ぶペンギン

 劇場未公開らしい。ペンギンが可愛らしく、親子で楽しめる作品だとは思うのだが、ペンギンの生態については少々疑問も残る。

Mr_poppers_penguins
 世界中を旅する冒険家の父と、無線で連絡をとるのが楽しみだった少年トム。30年後、NYで不動産会社に勤務。妻とは離婚、妻子とは別居しているが、仕事ぶりが評価され、パートナー候補に。セントラルパークに唯一残る老舗レストランの買収を成功させることが条件となる。そんなころ、父の訃報が届く。同時に、父から贈り物が届く。開けてみると、それは一羽のペンギンだった…

 送り返そうとしたのに、さらに5羽送られてきてしまい、はじめはペンギンとの暮らしでドタバタとするトムが、次第にペンギンに愛情を持つようになり、同時に家族の愛も取り戻すというお話だ。

 トム役にジム・キャリー。元妻役にカーラ・グギーノ。老舗レストランのオーナー、ガンディ夫人役にアンジェラ・ランズベリー(ジェシカおばさんの事件簿のジェシカ)。最初の買収相手役にジェフリー・タンバー(ブルース一家は大暴走のジョージ・ブルース)。マンションの隣人役でデヴィッド・クラムホルツ(numbersのチャーリー)。

 最初にガンディ夫人と交渉する際、ビートルズの曲「ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイヤモンズ」の冒頭のフレーズを引用していて面白い。さらに交渉に失敗すると、「ストロベリー・フィールズにすればよかった」という発言も(^o^;。

 ペンギンについては、リアルに出来ているとは思うが、明らかにCGという感じ。そんな動きをするだろうかというシーンがあるが、そういうことはとりあえず置いとこう。家族を顧みずに離婚に至った男、仕事中心だったトムの生活が、ペンギンの出現によって家族中心へと変わる。家族を大切にせずに仕事一筋でいることに疑問を持ち、家族が再生する物語だ。老舗レストラン買収の話も、トムがうまいことやるのだが、このレストランも、実は彼にとって思い出深い場所だったということで、「本当に大切なものはなにか」というのがテーマだね。楽しい作品だ。

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2013年3月 7日 (木)

[映] マリリン 7日間の恋

 ミシェル・ウィリアムスがマリリン・モンロー役を演じた作品。このタイトルだと、マリリンの恋を描いた作品のように思えるが、どちらかというと、彼女に恋をした青年の話である。原題は"My Week with Marilyn"なので、そのまま「マリリンとの7日間」みたいなんでよかったんじゃない??

My_week_with_marilyn
 1956年、英国の青年コリンは、独立するために家を出ることに。映画の仕事をしたいと考えた彼は、ローレンス・オリヴィエの映画制作会社に押しかけ、雑用を始める。仕事ぶりが認められ、三番目の助監督として働けることになる。そのころ、オリヴィエは、自身が監督する「王子と踊子」の共演者としてマリリン・モンローを選び、英国へ呼び寄せる。だが、撮影開始当初からうまくいかない2人。気まぐれなマリリンのために、撮影は難航。オリヴィエに責められ、ますます不安定になるマリリン… だが、唯一、コリンにだけは心を開き…

 コリン役にエディ・レッドメイン。マリリン役にミシェル・ウィリアムス。オリヴィエ役にケネス・ブラナー。妻のヴィヴィアン・リー役にジュリア・オーモンド。衣装係(?)のルーシー役にエマ・ワトソン。大人っぽくなって。共演者のシビル・ソーンダイク役にジュディ・デンチ。マリリンの演技指導をするポーラ役にゾーイ・ワナメイカー(ハリーポッターシリーズのマダム・フーチ、ドクター・フーのカサンドラ)。

 コリンは、名家の生まれのようなのだが、親の思うようにしなかったと言うことなのだろう、実家を飛び出して自活を始める。何ができるかわからないが、とりあえず大好きな映画の仕事をしてみようと、オリヴィエのプロダクションに押しかけるのだ。断られても断られても粘り強く居座る。強引に仕事をする。次第に仕事ぶりが認められて、三番目の助監督として、マリリンの作品に関わることができたと言うことらしい。なかなかガッツのある青年である。彼の書いた本が原作だそうなのだが、どうやら彼は2002年に亡くなっているようだ。この作品、見たかっただろうなぁ。

 ミシェル・ウィリアムスは、マリリンに似てないと思うのだが、彼女の醸し出す雰囲気、立ち居振る舞いはずいぶんと似せてきている。そして、精神的に不安定で、常にそばに誰かがいないと不安になると言う一面をうまく演じている。

 マリリンの気まぐれで、利用されているだけとわかりつつも、彼女の虜になってしまうコリン。気持ちはわからないでもないけど、マリリンが米国に帰国してしまったら、さて次とばかりに、ルーシーを再び誘おうとするコリン君、軽すぎるよ。

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2013年3月 6日 (水)

[映] OSS117 リオデジャネイロ応答なし

 さすがにジャン・デュジャルダンの顔も見飽きた感じだが、再びOSS117シリーズ。こちらは2009年の作品だが、舞台は60年代なので、OSS117も少々生え際が後退している。

Oss117rio_ne_repond_plus
 1967年。フランスの諜報員OSS117、ユベールは、スイスでの任務を終えて戻ると、新たな任務を受ける。ブラジルに潜伏する元ナチスのジンメルが、ナチ協力者リストが記録されたマイクロフィルムをネタにフランス政府を恐喝しており、この男に金を払ってフィルムを買い取るよう支持されるユベール。簡単な仕事だと、観光気分でブラジル入りするが、イスラエルの諜報機関モサドが彼に接触、美人エージェント、ドロレスと行動を共にすることに。

 前作の最初の任務が確か45年だったので、20年以上歳をとっていることになるが、生え際が著しく後退しているくらいで、特別な老けメイクはしていない。スパイは年取らないってか。

 脳天気に観光気分で出かけるユベール。モサドと手を組むことになるのだが、ここでもユダヤ人差別発言連発で大顰蹙。さらに、一緒に組む相手が女性と知って、今度は女性差別発言。本人には全く悪気はなさそうなのだが、無知からくる差別と偏見の塊である。

 ユベール役にジャン・デュジャルダン。笑顔がとってもスケベだ。ドロレス役にルイーズ・モノ。

 相変わらず女性にだらしなく、仕事中でも美女や胸の大きな女性がいると、そちらへ意識が飛んでしまうあたり、ただのスケベなおじさんである。ヒッピーたちとLSDでラリってしまったり、マイクロフィルムが意外なところにあったりと、今回もお馬鹿な騒動で笑わせてくれる。

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2013年3月 4日 (月)

[映] OSS117 私を愛したカフェオーレ

 ジャン・デュジャルダンの特集ということで、WOWOWで立て続けに彼の出演作を放送している。これは2006年の作品ながら、007シリーズのパロディらしく、雰囲気はまさに昔のスパイもの。ショーン・コネリーに似てるのも面白い。

Oss117_le_caire_nid_despions
 1945年、フランスの諜報員OSS117は、その日も任務を難なくこなす。10年後、米ソ冷戦下、同僚で親友でもあるジャックが行方不明になり、調査するためにカイロへと飛ぶ。現地の連絡員ラルミナと合流し、独自の調査を始めるが、彼の無神経な発言がイスラム教徒から顰蹙を買い…

 スパイアクションコメディだ。しかも、かなりのお馬鹿コメディである。ストーリーや映像は、まさに昔の007シリーズのようだし、OSS117はショーン・コネリーのジェームズ・ボンドにそっくりだ。女たらしだし、身体能力も抜群。だがこの男、しょうもないアホである。とんでもなく無知なのだ。

 OSS117役にジャン・デュジャルダン。ラルミナ役は、アーティストでも共演しているベラニス・ベニョ。

 彼のドジぶりはコミカルで笑える。女たらしであるが、どうやら男性も好きなようで、ゲイ疑惑もあるらしい。親友ジャックとの思い出のシーンというのが度々挿入されているのだが、これがまたかなり怪しげ。

 スパイアクションコメディといえば、イギリスのジョニー・イングリッシュもある。どちらもドジでちょっと抜けているのは同じだが、ジョニーがあくまでも紳士で誠実であるのに対し、117はチャラ男である。これもお国柄か? 笑えるシーンはたくさんあり、面白い作品ではあったが、お下品でもある。個人的にはジョニーの方が好きだな。

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2013年3月 3日 (日)

[映] プレイヤー

 おバカな男たちの9つのエピソードからなる。一人何役もやっているので、最初意味がわからなくて混乱したが、それぞれ別のストーリーのようだ。

Les_infideles
 パリに住む中年男性フレッドとグレッグ。親友同士の彼らは、お互い家族がありながら、浮気ぐせが抜けない。そして二人は今日も仲良くナンパに出かけ…
 出張でサンテティエンヌにやってきたローラン。退屈なセミナーを終えた彼は、ホテルのフロント係の女性をベッドに誘おうと目論むが失敗。やむなくセミナーの懇親会に出てみたものの、全く相手にされず… そこでなぜか人気を得ていたのは車椅子の営業マン。自室に戻り、コールガールを呼ぼうとするがこれも失敗。やむなく、セミナーで見かけた美女の部屋に押しかけるが、そこには車椅子が…
 歯科医のエリックは、仕事を終えたあと、浮気相手の女子大生イネスと待ち合わせる。だが、そこにはイネスの友達もやってきて、一緒にクラブへ行くことに。だが、二人だけで情事を楽しみたいエリックは、イネスを連れ出しホテルへ直行するが…

 そんなお馬鹿な男たちが受ける「セックス依存症の会」のエピソードもバカバカしくておかしい。

 フレッド、ローランなどにジャン・デュジャルダン。グレッグ、エリックなどにジル・ルルーシュ。

 自分は散々浮気しているのに、妻の浮気を知った途端、激怒する男。男と女は違うんだそうで、男が浮気するのは必要だが女はいけないと言い張る。なんとも都合の良い解釈である。

 フレッドとグレッグにはその後もあり、二人でラスベガスへ行くのだが、そこで散々女遊びをしたあと、驚きの展開が…

 フランスでは大ヒットだったとのことだが、ストーリー的には全く面白くなかった。ただただ、お馬鹿な男たちだなぁと(^o^;。これがフランス男なのか。

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2013年3月 2日 (土)

[映] アーティスト

 去年のアカデミー賞で、白黒作品、しかもほぼサイレントムービーながら、作品賞、主演男優賞、監督賞、衣装デザイン賞、作曲賞の5部門を受賞した作品。フランスの作品ってことだったので、フランス語なんだと思っていたら英語。(サイレントなのであんまり関係ないけど) しかも主演男優はフランスの役者さんだが、脇は英米の役者が固めているし、舞台もハリウッドだ。

Artist
 1927年、サイレント映画全盛期のハリウッド。売れっ子映画スターのジョージは、ファンの女性との2ショット写真を撮られ、新聞の一面に載る。そんなモテモテの夫との生活に不満を募らせる妻ドリス。ジョージとの2ショット写真をきっかけに映画界で働くことを決意したペピー。脇役から始め、次第にキャリアを積んでいく。そんな彼女にアドバイスする余裕のあるジョージだったが、時代はサイレントからトーキーへと移り変わり、次第に居場所を失っていき…

 栄枯盛衰というか、新旧交代というか、まぁ、新しい人が出て活躍する一方で、その座を奪われるベテランというのはよくある構図、世の常である。それを、サイレントからトーキーへと移り変わった映画界を舞台に描いた作品だ。しかも、この作品自体も白黒のサイレントというのが粋である。最後の最後にトーキーに変わるという演出も面白い。

 ジョージ役にジャン・デュジャルダン。この作品がきっかけで、アメリカでもとても売れっ子になったようだ。ペピー役にベレニス・ベジョ。アルゼンチン出身の役者さんらしい。プロデューサー?役にジョン・グッドマン。ジョージの運転手役にジェームズ・クロムウェル。ジョージの妻ドリス役にペネロープ・アン・ミラー。ジョージの相手役の女優役にミッシー・パイク。撮影所にいた役者??の役でマルコム・マクダウェル。

 売れっ子でモテモテのジョージは、みんなからチヤホヤされて調子に乗っている。ジョージに憧れて、彼の楽屋で彼の衣装の前でうっとりしていたペピーも、次第に売れっ子になってチヤホヤされるようになると、横柄な態度をとるようになってしまう。そんな彼女を見て、自分の居場所はもうなくなってしまったことを感じるジョージ。いかにもなシーンである。

 長年映画制作に関わってきたアカデミー会員たちにとっては、申し分ない作品だろう。久しぶりに白黒のサイレント映画を見たら、急にチャップリンの作品を見たくなった。

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2013年3月 1日 (金)

[映] フライト

 宣伝であらすじは知っていたのだが、イメージしていたお話とは少々違った。奇跡のフライトで乗客を救ったヒーローのお話ではあるが、アルコール依存の危険性を描いた作品でもある。

Flight
 オークランド発アトランタ行きの旅客機に乗り込んだウィトカー機長。離陸早々に乱気流に見舞われるが、見事に切り抜け安定。操縦を副操縦士に任せて眠ってしまう。だが、副操縦士が高度を落とそうとした時、機体は制御不能に。あわや墜落という事態に陥るが、ウィトカーのとっさの判断で難局を乗り切り、草原に不時着することに成功。
 病院で目覚めたウィトカーは、一躍ヒーローとなる。だが、血中からアルコールが検出され…

 ウィトカーは、たまたま酒が残っている時に乗務したのではない。立派なアルコール依存症である。しかも、二日酔いで操縦することは日常茶飯事で、酔いを覚ますためにコカインを使っている。一見まともだが、立派なジャンキーなのだ。しかも、それを全く自覚していないのだからタチが悪い。

 このお話と並行して、ドラッグ中毒の女性ニコールの話が描かれている。ドラッグで瀕死の状態になり、病院に運ばれるのだが、ここで入院中のウィトカーと知り合う。退院後、同居するようになる二人だが、依存症を自覚し立ち直ろうと必死のニコールに対し、全く自覚のないウィトカー。うまくいくはずもなく…

 ウィトカー役にデンゼル・ワシントン。ウィトカーと付き合っていた客室乗務員トリーナ役にナディーン・ヴェラスケス。「マイ・ネーム・イズ・アール」のカタリーナだ。出番は多くないが、とても重要な役で、しかも冒頭のシーンで抜群のナイスバディを披露している。ニコール役にケリー・ライリー(犯罪捜査官アナ・トラヴィスのアナ)。入院中の癌の青年役でジェームズ・バッジ・デール(Rubiconのウィル)。弁護士役にドン・チードル。ウィトカーを助ける元同僚パイロット、チャーリー役にブルース・グリーンウッド。ウィトカーがいつも頼っているドラッグディーラー役にジョン・グッドマン。公聴会でウィトカーを追求するエレン・ブロック役にメリッサ・レオ。

 依存症から抜け出すのがどんなに大変なのかを描いた作品だと思う。飛行機の墜落自体は、機体の整備不良によるものであり、ウィトカーに非は全くない。それどころか、危機的状況を抜け出せたのは、彼だからこそである。酔っていてもちゃんと仕事できたんだからいいじゃんと言えなくもないが(^o^;、でもあんな状態での乗務を続けていたらいつか事故を起こしてもおかしくないだろう。結末は、なかなか感動的だ。

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2013年2月28日 (木)

[映] ヒューゴの不思議な発明

 去年のアカデミー賞で、5部門受賞した作品。マーティン・スコセッシ監督だ。少年が主人公の冒険ファンタジーか何かだと思い込んでいたのだが、全然違った。スコセッシ監督なりの、映画に対するオマージュだ。邦題には少し不満がある。ヒューゴが発明した訳ではないので、おかしいと思う。原題通り、ただ"Hugo"で良かったと思うのだが。

Hugo
 1930年代のパリ。リヨン駅の時計台の中に一人で隠れ住み、毎日時計のネジを巻く少年ヒューゴ。駅構内で食料や、おもちゃ店で万引きをして暮らしていた。ある日、おもちゃ店でネジまきのおもちゃを万引きしようとして、店主に見つかってしまったヒューゴ。彼のポケットから出てきたノートを見た店主は、衝撃を受け、それを取り上げてしまう。それは、ヒューゴが大切にしていたノート。そこには、機械仕掛けの人形について書かれていた。なんとかノートを取り戻そうとしたヒューゴは、老人の養女イザベルと親しくなり、一緒に人形の秘密を探ると…

 ある意味、冒険と言えるかもしれない。ヒューゴは父を亡くし、時計台の管理をしているおじに連れられてそこに住むようになる。が、当のおじは、彼に管理を任せて、飲んだくれているので、ヒューゴは実質一人で生活している。そんな少年が駅にいるのに、誰も気づかないというのはなんともひどい話である。

 ヒューゴ役にエイサ・バターフィールド。彼の父役にジュード・ロウ。老人役にベン・キングズレー。彼の養女イザベル役にクロエ・グレース・モレッツ。鉄道公安官役にサーシャ・バロン・コーエン。彼が恋する花屋の女性役にエミリー・モーティマー。図書館?の老人役にクリストファー・リー。映画研究家?のタバード役にマイケル・スタールバーグ(ボード・ウォーク・エンパイアのロススタイン)。カフェの婦人役にフランシス・デ・ラ・トゥーア(ハリー・ポッターシリーズのマダム・マクシーム)。彼女に好意を持つ老人役にリチャード・グリフィス(ハリー・ポッターシリーズのバーノンおじさん)。

 少々長い作品で、ゆったりと物語が進行していく。前半はどういう方向に話が進むのか全く展開が読めない。ストーリーはとても謎めいている。ヒューゴが直そうとしている機械仕掛けの人形も謎だし、なぜ老人がノートを取り上げてしまったのかも謎。だが、その謎が、少しずつ分かってくる過程が楽しい。そして最後はとても感動的だ。スコセッシ監督の、映画に対する愛情がわかる作品だ。

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