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2007年2月 7日 (水)

[映] スタンドアップ

 とても重い作品だ。原題は「North Country」。邦題の方がしっくりくるんじゃないかと思っていたが、最後まで見ると、このタイトルの奥深さがよくわかる。シャーリズ・セロンが、セクハラ集団訴訟を起こした実在の女性を熱演している。

 80年代のアメリカ。子供を連れ、暴力夫から逃げ出した女性ジョージー。彼女は実家に転がり込むが、出戻り娘に対して父親はいい顔をしない。鉱山でも女性を雇うようになり、他の仕事よりも給料が良いと知り、彼女は鉱山で働くことにする。だが、女性の参入を快く思わない男性たちによるセクハラが日常的に行われていた。彼らの行為に疑問を持ったジョージーは、やめてくれるよう働きかけるが…

 まず彼女の生い立ちが悲しい。かなりの美貌の持ち主、もっと違う人生もあったハズだ。だが、高校生の時に妊娠してしまう。相手が誰なのかわからない → 誰とでも寝る娘と思いこみ、世間体もあり、娘に冷たく当たる父。彼もまた、鉱山で働いているのだが、娘が受けるセクハラを、見て見ぬふりする。
 大多数が男性で、そもそも男ばかりの職場。女に仕事を奪われると思っている男たち。さらに、ジョージーの元彼までセクハラに加わる。仲間であるハズの女性陣は、仕事を失いたくないために、我慢している。

 これはいじめだ。誰も助けてくれない。誰も話を聞いてくれない。こんなにつらいことはないだろう。だが、子供たちを養い、家のローンを払うために、この仕事は必要なのだ。そしてついに、彼女は訴訟に踏み切る。
 ここからは本当に感動的だ。まず弁護を引き受けてくれる弁護士。彼の存在は大きい。そして彼女の味方になってくれた父。共に訴訟に臨んでくれた同僚。今まで反発していたが、真相を知って母親を気遣うようになってくれた息子。彼女の強い意志は、少しずつ周りに拡がり、正義の連鎖を生む。

 ジョージーを演ずるシャーリズ・セロンの熱演は言うまでもないが、脇を固める俳優陣もすばらしい。いつでも娘を暖かく見守る母役はシシー・スペイセク。彼女を鉱山の仕事へ誘い、自らは難病で自由がきかなくなっても彼女の味方をしてくれた友人グローリー役は、フランシス・マクドーマンド。彼女を支える優しい夫役は、ショーン・ビーン。そして、この大きな波のきっかけとなってくれた弁護士役はウディ・ハレルソン。
 声を上げた女性の物語だが、彼女を支えた男性もすばらしかった。特に、ショーン・ビーンとウディ・ハレルソンの役がいい。母親を憎むというジョージーの息子に、カイルが優しく問いかけるシーンは感動的だ。

 R-15指定なので、15才以下は鑑賞不可である。確かに、かなり卑猥な表現が出てくるし、レイプシーンなどもある。だが、セクハラ(いじめだ!)に立ち向かった女性の物語だ。いじめに悩む子供たちにも見てほしいと思う。
http://www.ne.jp/asahi/mikey/showcase/mv.htm

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» 映画「スタンドアップ」 [茸茶の想い ∞ ~祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり~]
原題:North Country 1975年に初めて女性が採用されたミネソタ北部の鉱山、セクハラに対する集団訴訟に発展する1980年代でも30対1の時代の女性達の実話。 ドメスティックバイオレンスから二人の子供を連れて実家に帰るジョージー(シャーリーズ・セロン)、自... [続きを読む]

受信: 2007年2月 8日 (木) 18:09

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