ももちゃん
そこは奇妙な造りの部屋で、ももちゃんはそこにいた。他の多くの子供たちと一緒に、雑魚寝していた。3歳くらいだろうか。まるで、アルプスの少女ハイジのような、素朴な、そして純粋な女の子だった。ふっくらしたほっぺは、まるでモモのようで、それで「ももちゃん」と呼ばれていた。
ももちゃんと、すぐに仲良くなった。ももちゃんは、私に甘えた。私も、我が子のように接した。かわいいももちゃんに会いたくて、たびたび会いに行った。
ある時、ももちゃんが行方不明になった。すぐに見つかるのだが、私の所へ来ようと、施設(?)を脱走したのだと言うことがわかる。なんと愛おしいももちゃん。私は彼女を我が子として育てる決意を固めた。そして、ももちゃんを抱きしめて言った。
「ももちゃんは、ママのものだからね」
すると、ももちゃんは言った。
「自分の言った事の意味わかってる?」
ここで目が覚めた。夢である。
なんだったんだろう。こんな夢は初めてだ。よくよく考えてみると、昨日は上の子の中学卒業式だった。そう、子供たちの成長を実感した一日だったのだ。
上の子のお友達の何人かは、寮へ入るために家を出る。進路はみんなバラバラだ。巣立ち。早い子はもうすぐ、そうでなくてもあと数年で、巣立っていく。入学した頃は、まだほっぺぷっくらでかわいかった彼らも、今ではずいぶんとおとなっぽくなった。格好つけてる子もいるし、制服のボタンを全部とられたモテ男もいる。いつのまにか、守ってあげる存在ではなくなってしまった…
そんな想いからくる寂しさ故だろうか。成長した姿を頼もしく思いつつも、もう決して戻れないあのころを懐かしむ。ももちゃんに会いたい。
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