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2008年9月28日 (日)

[映] フェイク

 97年の作品。アル・パチーノとジョニー・デップが共演、しかもマフィアものと言うことで、当時ワクワクして見た。WOWOWで放送されていたので、久しぶりに見たのだが、当時とはちょっと違った感想を持った。自分が年をとったせいだろうか。実話が元になっているらしい。邦題もなかなかイケてるが、原題”Donnie Brasco”もなかなかいいと思う。

 70年代後半のブルックリン。年輩だが下っ端マフィアのレフティは、馴染みの酒場で見慣れぬ若者ドニーを見つける。彼が宝石商であることを知り、借金のカタに巻き上げたダイヤの鑑定を頼む。彼の態度に頼もしいものを感じたレフティは、ドニーを自分の弟分にすることに。マフィアのルールを教え、何かとドニーを頼りにするレフティ。だが、ドニーはFBIの囮捜査官だった…

 ドニー・ブラスコと名乗ってマフィアに潜入したジョー・ピストーネ捜査官の物語だ。だが、この映画の見せ場は、なんと言ってもレフティ役アル・パチーノの哀愁漂う演技だろう。マフィアでイメージするのは、やっぱりボスとその取り巻きなのだが、そういう輩ばかりではない。当然下っ端もいる。年功序列というわけではないので、年を取ったからといって、必ず昇格するわけでもない。レフティは、まさにそういう、万年下っ端マフィアなのだ。

 レフティは、愛する妻と息子がいて、そこそこ幸せらしい。町中では、オレの顔を知らない者はいないと、ちょっと威張っている。殺しもたくさんやったらしい。長年やっているので、マフィアとしてのカンもいい。だが何かが足りない。そう、彼には度胸が足りないのだ。

 そんな彼が、偶然見つけた弟分ドニー。彼にだけはちょっと大きな顔ができる。何でも話せる。グチを聞いてくれる。お金も貸してくれる。自分のために動いてくれる。レフティがドニーをすっかり信用するのもムリはない。

 ちょっとした夢を抱く。ドニーと2人でフロリダの酒場を経営できたら。ブルックリンの奴らから離れて、のびのびと暮らせたら。儲けが出れば、また船が買えるかもしれない。だがそんなささやかな夢も、あっさりとうち砕かれる。さらに、使える男(ドニーね)はすぐに上にも認められ、引き抜かれてしまう。

 レフティは本当にいいところのない男だ。見ていてかわいそうになる。ドニーとして彼のそばにいたジョーも、そういう気持ちだったのだろう。情が湧くのもムリはない。

 ジョーが、ドニーを演ずることで、家族と会う時間もとれず、次第にヤクザな人間に代わっていくさまも興味深い。組織をつぶすため、全てを犠牲にして潜入しているのに、家族からは冷たくされ、成果が出た後もメダルと少しばかりのご褒美が出ただけ。自分が払った犠牲は、なんだったんだろうと思ったことだろう。

 ジョーの妻役にアン・ヘッシュ。野心を持ったマフィアの同僚ソニー・ブラック役にマイケル・マドセン(バージニア・マドセンの兄ちゃんだね)。FBI側にポール・ジアマッティ、ジェリコ・イヴァネク(ホミサイドのダンバース、OZのデブリン、24のドレイゼン、ダメージのフィスク)。

 2人の男の、言葉にできない思いを堪能してほしい。

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