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2010年4月 4日 (日)

[映] 扉をたたく人

 地味な作品ながら、なかなか感動的な作品だ。去年のアカデミー賞で、リチャード・ジェンキンス(シックス・フィート・アンダーのナサニエル・フィッシャー)が主演男優賞にノミネートされた。

 コネチカット州の大学教授ウォルター。妻を亡くしてから、一人孤独に生きていた。ある日、NYでの講演を依頼され、渋々NYの別宅へ戻ると、そこには見知らぬ男女タレクとゼイナブが住んでいた。はじめは追い出そうとするが、同情心から2人を泊めることにしたウォルター。ジャンベ奏者のタレクの演奏を見て、自分もやってみたくなったウォルターは、次第に心を開き、彼と一緒に演奏を楽しむようになるのだが…

 ウォルターは妻を亡くしてから、全てのことが色あせて見えたのだろう。講義も1コマしか担当せず、執筆をするからと言いつつ、何かを書いている様子もない。授業は毎年全く同じ内容。つまり、何かをする意欲を失ってしまっていて、惰性で仕事を続けている孤独な男なのだ。

 ウォルターの妻はどうやらピアニストだったらしい。そのため、どちらの家にもピアノがある。そして音楽好きのウォルターは、自分もピアノをやってみようと考えるのだが、どうにもうまくならない。そんな時、タレクのジャンベ(ボンゴみたいな太鼓)演奏を聴き、心を動かされる。体が自然とリズムをとっている。そう、音楽にはそういう力があるのだ。

 そしてまた、タレクの人柄がいい。なんとも気さくで、人なつっこい。寡黙なウォルターに、何かと話しかけ、心を開かせる。いつの間にか、2人は離れがたい存在になっていく。そんなときに悲劇が起こる。タレクたちは、不法滞在だったのだ。

 決してハッピーエンドとは言えない。だが、地下鉄のホームで、ジャンベに怒りをぶつけるように演奏するウォルターの姿は、非常に印象的なエンディング。2人の交流はとても心温まるし、音楽のすばらしさも描かれている。心に残る作品だ。

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