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2011年9月24日 (土)

[映] マイ・ブラザー

 何年か前に宣伝で見て以来気になっていた作品。劇場公開には気がつかず… 気づいたらWOWOWで放送というパターン。テーマが重いだけに、重苦しい作品ではあるが、考えさせられる内容だ。

 良き夫、良き父親として、愛妻グレースと2人の娘を愛する男サム。父親からも信頼される良き息子でもある。それとは対称的に、刑務所を仮出所した弟トミーは、日頃問題ばかり起こしているために、父親からも疎まれていた。そんなある日、海兵隊員であるサムは、再びアフガニスタンの戦場へ出征することに。だが、すぐに彼の乗ったヘリが撃墜され、訃報が届く。突然の事に悲嘆に暮れる家族。更生を誓い、サムのために家族を支えようと決意したトミーは、グレースや娘達の世話を親身になってする。トミーとグレースの間には特別な感情が生まれつつあったその時、サムが生きて帰還することに。だが、それはかつてのサムではなかった…

 こういうケース、多いんだろうなと思う。これも戦争の爪痕の一つだろう。穏和で冷静、誠実な男サムは、アフガニスタンでの捕虜体験が元で、すっかりやせ細り、精神を病んでしまう。良き夫、良き父親、そして良き息子であった彼が、すっかり豹変し、弟トミーと妻グレースの不倫を疑い始める。突然怒りを爆発させるなど、情緒不安定だ。父親が大好きだった娘達も、そんな様子を見て、トミーの方がいいとまで言い出す。

 サムは、捕虜として拷問を受けたと言う意味では被害者なのであるが、加害者でもある。アメリカ軍の一員であり、そして自らが助かるために同胞を撲殺してしまった男なのだ。このことが、彼が精神を病むに至った一番の原因だと思うのだが、一つ合点がいかないのが、アフガニスタンの兵士達の行動。サムに仲間を殺させて、何がしたかったのだろう? 単なる気晴らし? サムが最後まで自分の罪を認めないことに対する仕打ちなのか?

 サム役にトビー・マグワイア。戦場へ行く前の穏和な男とはまるで別人の、やせ細った体、狂気に満ちた目。最愛の家族のために、自分は拷問に耐え、同胞まで殺して戻ってきたのに、弟と浮気してたの? と言うクダリは、精神不安定な者の暴言ではあるが、本心でもあるのだろう。グレース役にナタリー・ポートマン。兄弟で惚れちゃうのも無理ないね。弟トミー役にジェイク・ギレンホール。サムの父役にサム・シェパード。彼もどうやら軍人上がりで、それ故に上の息子は誇らしいが、下の息子は軽蔑している。だが、すっかり更正して、これまた誇らしいだろう。カヴァゾス少佐役で、クリフトン・コリンズJr.(イベントのトーマス)。サムが殺してしまった同胞の妻役にキャリー・マリガン(「17歳の肖像」のジェニー)。さらに、トミーの友人の1人役で、イーサン・サプリー(マイ・ネーム・イズ・アールのランディ)。

 この家族は、これからが大変なのだと思う。だが、周りの支えで、サムは必ず立ち直ると信じさせるエンディングのように思えた。

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コメント

セレンディピティさん
トミーとグレースの間に愛情が芽生えてきただけに、なんだかとっても切ない物語でした。かといって、サムを見捨てるわけにもいかないだろうし。戦争って本当に残酷。

投稿: マイキー | 2011年10月 6日 (木) 14:35

この作品、私はとっても気に入りました。
テーマは重いですが、トミーと子どもたちのやりとりとか
陽気なアミーゴスとか、温かいシーンがあって
救われたような気がしました。
オリジナルのデンマーク映画の方も見たのですが
こちらはもっと重かったです。
ところであの若い夫人は、キャリー・マリガンだったんですね!
機会があればまた見てみたい作品です。

投稿: セレンディピティ | 2011年9月24日 (土) 22:23

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