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2012年8月 7日 (火)

[映] ミケランジェロの暗号

 新聞の講評だったか、何かで見て気になっていた作品だ。オーストリアの作品。「暗号」なんてついているので、謎解き物かと思ったが、全然違う。でも、最後まで先の読めない展開で、楽しめた。原題は"Mein bester feind"、英語にすると"My best enemy"なので「私の最高の敵」と言ったところか。邦題はなかなかミステリアスだが、これだとちょっと違う内容を想像してしまう。

Mein_bester_feind
 1938年、ウィーン。ユダヤ人画商ヤーコブ・カウフマンは、ミケランジェロ未発表の素描を密かに所有していた。息子ヴィクトルは、久しぶりに再会した親友、使用人の息子ルディに、その秘密を漏らし、隠し場所を教えてしまう。だが、ルディはその直後ナチスに入隊、絵のことを密告。絵はナチスに奪われ、一家はバラバラに収容所送り。
 5年後、ナチスは、イタリアとの交渉にミケランジェロの絵を利用しようと考えるが、それが偽物であることが判明。だが、ヤーコブはすでに収容所で亡くなっていたため、ヴィクトルから絵の在りかを聞き出そうと考える。ルディに連行されたヴィクトルが乗ったナチスの飛行機が、途中でパルチザンの攻撃を受け墜落。偶然助かったヴィクトルは、負傷しているルディを救出。そしてある作戦を思いつく…

 ナチスとユダヤ人のお話なのだが、なんとも痛快だ。冒頭で、ヴィクトルの乗った飛行機が墜落するシーンがあり、そこから5年前にさかのぼる。

 カウフマン家は、裕福なユダヤ人一家である。使用人の息子ルディとは親友、兄弟のように育ったらしく、ヴィクトルはルディを信頼している。家族ぐるみのつきあいなのだ。だが、ルディはそうは思っていなかったらしい。ヴィクトルがどう思おうと、身分の違いを感じていたに違いない。財産がある。そのため、ちょっと顔もきく。恋人もいる。それは共通の友達であり、自分の方が先にプロポーズしたのに断られた相手となれば、ねたむのも当然だろう。

 今までずっと見下されてきた(と感じていた)ルディにとって、ナチスに加わることは、その立場を逆転させることができる唯一のチャンスだったのかもしれない。だが少々やり過ぎた。

 飛行機が墜落した後、たまたま無傷だったヴィクトル。ルディが負傷しながらも生き残っていることに気づき、救出。そこからが面白い。持ち前の機転を利かせて窮地を乗り切るのだ。

 父ヤーコブも、出番は少ないが、なかなかのキレ者である。情勢が怪しくなり、財産を奪われると気づいた時、ミケランジェロの絵の贋作を数枚準備する。本物は隠すのだが、息子にも場所は教えない。そして死の間際、謎の言葉を残す。

「私を視界から消すな」

 これが暗号と言うことなのだろう。

 ヴィクトル役にモーリッツ・ブライブトロイ。なんか見たことある~と思ったら、「ラン・ローラ・ラン」のマニである。ルディ役にゲオルク・フリードリヒ。恋人レナ役にウーズラ・シュトラウス。母ハンナ役にマルト・ケラー。

 とにかく痛快。コミカルなシーンもあり、ナチスとユダヤ人を描きつつも、重苦しく感じさせない。最後、ヴィクトル、ハンナ、レナのドヤ顔が良かった。

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コメント

セレンディピティさん
見せ方がうまいですよね。重いテーマなのに、コミカルに仕上げていて、脚本がうまいと思いました。

投稿: マイキー | 2012年8月 8日 (水) 07:54

この作品、おもしろかったですね。
このテーマでまさかコメディとは思わなかったので
意外でしたが、楽しめました♪
最後は痛快でしたね。

投稿: セレンディピティ | 2012年8月 7日 (火) 14:06

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