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2013年7月10日 (水)

[映] キリマンジャロの雪

 同名の作品が1952年に映画化(ヘミングウェイ原作)されているようだが、それとは全く別の作品。ヴィクトル・ユーゴーの長編詩をモチーフにしているらしい。2011年フランス制作の心温まる作品だ。

Les_neiges_du_kilimandjaro
 港町マルセイユ。不景気の影響で、リストラを決行することになった労働組合委員長ミシェル。くじ引きでリストラ対象者20名を選ぶが、その中には自分も含まれていた。早期退職したミシェルは、最愛の妻マリ=クレールや、近くに住む孫たちに囲まれ、つましいながらも幸せに暮らしていた。
 二人の結婚30周年を祝うパーティが開かれ、家族や友人たちによってキリマンジャロへの旅行チケットと、資金がプレゼントされた。だが数日後、強盗が押し入り、チケットと金を奪う。突然の出来事にショックを受けるミシェルだったが…

 いい話だなぁと思う。ミシェルは、長年、労働組合の委員長として、仲間のために力を尽くしてきた人物だ。リストラをせざるを得ない状況で、くじ引きをすることになったが、委員長の特権として自分を除外するという手もあっただろう。だがあえてそれをせず、リストラの対象になってしまうような、バカ正直な男である。

 妻マリ=クレールも、心優しき女性だ。介護の仕事をしつつ、夫を支えるよき妻。失業した夫を責めるなんてことはしない。決して裕福ではないけれど、食べていくことくらいはできる、なんとかなるわよとばかりに、明るく微笑む。

 そんな善良な熟年夫婦に悲劇が起こる。家族や友人が、なけなしの金を出し合ってプレゼントした旅行チケットと資金を、強盗が奪うのだ。彼らがチケットをもらったことを知っているのだから、明らかに、パーティに来ていた者の仕業だろう。金を奪われたことよりも、突然強盗に押し入られたショックで落ち込む二人。だが、偶然にも犯人を見つけてしまう。素晴らしいのは、その先だ。

 ミシェル役にジャン=ピエール・ダルッサン。マリ=クレール役にアリアンヌ・アスカリッド。

 度重なる悲劇に見舞われながらも、常に前向きに、優しい心を失わない二人。なかなかできないと思うなぁ。とても温かい気持ちになれる作品だ。

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