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2016年11月27日 (日)

[映] 顔のないヒトラーたち

 1963年のフランクフルト・アウシュヴィッツ裁判を題材にした作品。1958年当時、フランクフルトでは、アウシュヴィッツで何が行われたか知られていなかったと言う事実に驚愕。

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 1958年フランクフルト。ユダヤ人シモンは、アウシュヴィッツ強制収容所の親衛隊員だった男が、規則に反して小学校の教師をしていることを偶然知る。ジャーナリストのグニルカがそのことを調査するよう検事局に求めるが、全く動こうとしない検事局。だが、偶然それを聞いていた若手検察官ヨハンが、興味を持つ。調査のため、収容されていた人々の証言を聞き、初めてアウシュヴィッツで何が行われていたかを知り、衝撃を受ける…

 ヨハン役にアレクサンダー・フェーリング。ジャーナリストのグニルカ役にアンドレ・シマンスキ。ユダヤ人シモン役にヨハネス・クリシュ。検事総長バウアー役にゲアト・フォス。ヨハンの恋人マレーネ役にフリーデリーケ・ベヒト。

 かつてアウシュヴィッツに囚われていたユダヤ人シモンは、小学校の前で偶然、親衛隊員が教師をしていることを知る。彼は双子の幼い娘をそこで殺されている。しかも、メンゲレ医師によって実験台にされ、残虐な方法で。

 軽い気持ちで調べ始めたヨハン。交通違反ばかり担当していたヨハンにとって、それはちょっと興味を持った程度。アウシュヴィッツに収容所があったことは知っていたが、ただ収容されていただけと思っていた様子。周りの若者には、アウシュヴィッツに収容所があったことすら知らない者も多い。そこで、当時収容されていた人々を探し出し、話を聞き始めたヨハン。あまりの事実に衝撃を受ける。怒りに震える。なんとしても裁かなくてはと燃える。

 当時のドイツは、戦後の復興で経済的にも好調だったらしい。戦争中の嫌なことは忘れてしまいたいと言うのが本音のようで、他の検事たちは関わりたくない様子。しかも、ナチスの残党はまだたくさんいて、下手なことをすれば狙われると言う状況に気づく。

 若きヨハンが、正義感に燃えて真実を突き止めようと奔走し、関係者を追い詰めながらも、事実を知ってショックを受け… と、裁判にこぎ着けるまでの苦労が描かれている。ナチス=悪と簡単に線引きできないことも知る。「党員にならない」と言う選択肢がなかった人も多い。惨劇を目の当たりにしながら、何もすることができなかった人たちがたくさんいるのだ。彼らも罪人なのか? 自分がその立場なら何かできたか? ヨハンは自身に問う。

 残虐なシーンは1つも出てこない。残虐な行為を語るシーンも多くはない。体験を語る人々の話を聞いてショックを受けるヨハンたちの姿を見るだけで、そこで何が行われたのか、どんな酷い状況だったのか、容易に想像できる。それだけで悲惨な光景が目に浮かぶ。

 あえて自国の罪を裁いた彼ら、目を背けなかったヨハンたちの正義感に感動。

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