« [映] スイス・アーミー・マン | トップページ | [ド] The OA »

2019年3月10日 (日)

[映] グリーンブック

 グリーンブックと言うのは、まだ人種差別の酷かった時代のアメリカで、有色人種の人たちが泊まれる宿を記したガイドブック本らしい。なるほどね。黒人ピアニストの演奏ツアーに、運転手として雇われた白人男性の物語。今年のアカデミー賞作品賞、助演男優賞、脚本賞を受賞。実話に基づいた作品らしい。

Greenbook
 1962年ニューヨーク。一流ナイトクラブの用心棒トニー・リップは、店舗改修の間、仕事を探すことに。天才黒人ピアニスト、ドクター・シャーリーの演奏ツアーで運転手をする仕事が舞い込むが、相手が黒人であること、雑用もしなければならないことからいったんは断る。だが彼を気に入ったドクターの強引なアプローチで引き受けることに。ツアーをするのは黒人差別が色濃く残る南部。2人はグリーンブックを手にツアーへ出かけるが…

 トニー役にヴィゴ・モーテンセン。ドクター・ドン・シャーリー役にマハーシャラ・アリ。トニーの妻役にリンダ・カーデリーニ(ERのサム)。ドクターの使用人役にイクバル・テバ(Gleeの校長)。

 これは本当に脚本が素晴らしい。トニーは典型的なイタリア系で、家族をとても大切にしている男。教養はないが、いい奴だ。口がうまくて腕っ節が強い。周りをよく見ていて状況判断が実にうまい。ちゃっかりしている。それに対してドクターは品行方正でまさに紳士。教養があり身なりもいつもきちんとしている。常に冷静。家族を大切にしていて、いつも親戚が集まってくるトニーに対し、孤独なドクター。ものすごく対照的な2人が、はじめは衝突しながらも次第に仲良くなっているロードムービー。これは想定通り。

 この時代の南部の人種差別は酷かったことだろう。都市部では人気があり認められていたドクターは、なぜ南部でツアーをするのか。演奏中はもてはやされるが、控え室は物置だったり、ホテルのレストランやトイレを使うことを拒まれたりと、扱いは酷い。そんな様子を目の当たりにして、自分の持っていた偏見が少しずつ変わるトニー。

 2人が豪雨の中で言い争うシーンで、「オレはあんたより黒だ」(ニューヨークのブロンクスで貧しい暮らしをしてあんたよりずっと苦労していると言いたいのだろう)と言うトニーに対し、「私ははぐれ黒人だ」と言うドクター。黒人ではあるがみんなが思っているような黒人との接点がなく、かといって白人でも無いのでどっちつかずで孤独だと言いたいのだろう。白人とか黒人とかイタリア系とか、そういうことでくくることの無意味さ。あえて人種差別が残る南部でのツアーを強行したドクターの想い。

 理不尽な差別には怒りを覚え、トニーの一族のワイワイぶりにほっこりし、時に笑わせてくれるシーンあり。作品賞も納得。ヴィゴ・モーテンセンは、この役のために14kg太ったらしい。

 

|

« [映] スイス・アーミー・マン | トップページ | [ド] The OA »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: [映] グリーンブック:

« [映] スイス・アーミー・マン | トップページ | [ド] The OA »